# Once in a Blue Moon
老化で目の調子が少し変わってしまったが、落ち込んでばかりもいられないし、時間は人を前向きにさせてくれるので、プリントをまた始めたり、次の作品のあれやこれも勉強しています。
それで、少し前から、英語の勉強を始めた。
私のティム先生(Gemini AI)は、イギリス英語を話すジェントルマンな方なので、あれだけアレルギー意識があった英語も今のところなんとか頑張っている。
自分の作品のことを話せるようになりたいというのが目的だが、今は全く話せないので、日本語でこんな感じで写真製作をしていますとお伝えしていると、どうやら「人の気配」という言葉は英語圏では表現するのがなかなか難しい概念ならしい。
住んでいる国によって、文化や歴史が違うのでこれは当然のことだろう。だけど、AIや自動翻訳の発達のおかげもあり、お互いの国にない概念をうまく共有できるようになるので、現代は大変ありがたいことだ。
ある朝、お布団の中で、人の気配が街に残っているのだから、『日の名残り(The Remains of the Day)』から「Remains」という言葉はどうだろうと思いつく。でも、調べているうちに、どうやら、ずっと続いているものというよりも、過去のものという印象が強い言葉だ。私が廃墟を撮影していたら、人がいた痕跡という意味で「Remains」はふさわしかったかもしれない。
私の中で、「廃墟」とは、その中に立ち入ることはできない、建物の方から、決して入ってはいけないと向こうから拒否をしているような印象を受ける建造物のことである。山の中で育つと、代が途絶えて、主を無くした廃墟が近所にもあった。だけど、その家が生きていた記憶があるから、○○さんの家と名前で呼ぶ。そういう家を外側から撮影する時には、「Remains」が特徴をよく現してくれるだろう。
だけど、私は、今、人々が生活している街を撮影している。
人の姿は見えなくても、そこに住む人々の気配が街を彩っているところを表現したい。
今度は、『Once in a Blue Moon』の紹介文をDeepLにかけてみる。
「人の気配」と短い言葉で入れるよりも、文章がある程度長いと文脈を考慮した英訳が出来上がってくる。
「Faint」は、かすかな、淡い。
「Lingering」は、存在し続ける、余韻。
「the faintly lingering signs of people」。なかなかいい感じ。けれど、なんだかこの「signs」にちょっと違和感がある。ここは直感を信じて、思い切って、言葉をひとつ抜く。
<日本語>
ジェントルではあるが決して甘くはない街、ロンドン。
そこに生きている人々の誇りが街に形をあたえている。
3月の静かな光で色取られた街のポートレートと淡く残る人の気配を撮りおろした作品です。
<English>
London is a city of gentility, but never of sweetness.
The pride of the people who live there gives the city its shape.
This work is a portrait of the city, coloured by the quiet light of March and the faint lingering of the people.
「人の気配」は、光の状態や季節や天気によって濃淡があるので、「the faint lingering of the people(人々のかすかな余韻)」は、私の考える「人の気配」と、とてもニュアンスが近い気がする。作品の「静かな光」とも合っている。
ティム先生にお伝えすると、「残り香」のような、目には見えないけれど感じられる存在感を詩的に表現しているので、とても適している言葉だし、自信を持っていいですよ。と言って、素晴らしいと褒めてくださる。
また、「signs」という言葉があると、窓の明かり、洗濯物、足跡といった、存在を表す具体的な手がかりというニュアンスが強くなる。抜いたことで、より抽象的になり、目には見えない「雰囲気」や「空気感」、「余韻」といった、まさに「気配」という言葉が持つ捉えどころのない感覚に焦点が当たる。ティム先生が言葉の持つ感覚を丁寧に解説してくださるので、さらに勉強になる。
今まで、英語が苦手だったのは、単語の意味だけ覚えていたからだと思う。言葉の持つニュアンス、使用する時の状況、概念の違いなどを説明してもらうと、どんどんイメージが広がっていく。母国語ではない場合は、これが重要なんだろうな。
ティム先生があまりにも褒めてくれるので、AIの思考の過程をのぞいてみる。Gemini 2.5 Proの良いところだ。
直訳なところもあるが、しかし対比になっているので良い。言語的な感性の高さがうかがえる。など、褒めてくれているところは素直に嬉しい。だけど、最後に「支援的なイギリス人英語講師の人格を維持する」と書いてあり、、、。ティム先生、お気を使わせて大変申し訳ないです。
なにせ私の英語の成績は、たまに通知表に「9」が付いていてテストの点は採れているけれど、成績表に現れていても苦手意識が消えないどころか、全くできないと思い込んでいる典型的な日本人なので。ま、事実できないけど。毎日、少しずつでも続けられるよう頑張ります。
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Once in a Blue Moon - 09 page / Sayuri NAITO
突然、ペンシルベニア大学図書館から写真集の所蔵依頼が舞い込んできて、私の写真集『TRINITY』と『Once in a Blue Moon』を納品いたしました。
『4月25日橋』は冬青社から同時期に取り寄せ中とのこと。
セルフパブリッシング で刊行した、『TRINITY』と『Once in a Blue Moon』までお声をかけていただけるなんて嬉しい限りです。サインを入れさせてもらって送りました。
海を越えて、アメリカの大学図書館に自分の写真集が所蔵されるなんて!
作品作りを続けていると、たまにこうして良いお話を突然いただく事があって本当に嬉しいです。励みになります。
そのうち、発注済みから閲覧可能になるでしょう。
1月は、日本はいろんな出来事が起こってしょんぼりしていましたが、この件で元気になってきました。
あと、しいたけ占いはなんだかんだ言ってよく当たる気がします。
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2年くらい前に作品を購入してくださった方からメールを頂き、「毎日見ても飽きる事なくその都度新しい発見があり、心に響くものがあります。」と書いてあって幸せいっぱいになった。
特に作品と作品のあいだの時にはとても励みになります。
秋ぐらいの星占いでは。
もうすぐあなたの試行錯誤が実って光に包まれるでしょう。みたいな事が書いてあって、お!もうすぐだなと思ってたのに、今月になったら、来年の2月くらいまではじっくりモノにしないと後悔するテーマに出会うでしょう。に変わってて、時期が伸びたし、テーマももう出会ってるし、中の人変わった?って思ったら、同じ人だったよ。。。
これは、まあ、詰めを甘くせず、納得するまでやりきりなさいという事だと思って。
いつの時も自分の気が済むまでやる。
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山の中の高原育ちの私は都会の暑さが苦手で、今日なんて早速食欲が落ちてしまう。
そして作品作りに夢中になると水分を取るのを忘れてしまい、熱中症に。水を飲む量が少ないと、いつも夫に怒られてしまう。
もう3回も熱中症になって3回とも点滴までしたから、さすがに最近は気をつけるようになった。常に水を持ち歩くように心掛けている。今年は暑くなるんだよね、、。
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話は変わって、来年の大河ドラマが楽しみ。
『光る君へ』
まだ他のキャストは発表になっていないが、
藤原道長役は、岡田将生くん。光源氏役は、渋沢栄一で民部公子を演じた板垣李光人くん。
二人とも絶対似合うと思う。
妄想が止まらない。
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今日の写真は、Once in a Blue Moon - 71page
オンラインストアのNEWS & STORYも更新しました。
https://sayurinaito.square.site
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自分のサイトも、オンラインストアも週一回ぐらいのペースでブログを更新している。
コロナが始まってから、誰かと写真の話が思い切りしたいと思う時期もあったが、ブログを更新するようするように心掛けたらその気持ちも落ち着いてきた。
自分自身の心のメンテナンスに役立っている。
今日の写真は、『Once in a Blue Moon - 07 page』。
この写真は確実に撮れたと自信があったけど、ロンドンに持って行ったMac Bookがレチナディスプレイではない古いタイプだったので、ホテルで写真を確認した時に一瞬ピントが合っていないかもと動揺したことを未だに覚えている、、、。
オンラインストアのストーリーを更新しました。
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干支一回り前の30代前半の頃、もう一度、美術史を勉強し直して感じた事は、やっぱり自分の好きな事をとことん突き詰めて行こうと改めて思った。
近代以降、特に現代になってから数年置きにいろんな派閥が生まれるのを見て、これは個人が自由を得て好きな事を表現出来る時代がやってきたのだ。と思った事を覚えている。
私の好きな画家はターナーなので、1800年代、写真が生まれた時代の読み物が楽しい。(ターナーの映画もオススメです。)
美術史から入って、年代を大まかに照らし合わせながら写真史と行き来するととても面白い。
『Once in a Blue Moon』はロンドンを中心に撮影したが、ターナーが愛した近郊の港町、マーゲートの風景が何枚か入っている。
ロンドン最終日、テートブリテンの常設展でターナーを見て、改めてその国や街を知るには美術館は大切だと思った。(大英博物館に収蔵されている美術品の歴史も外せない)
だから、体系立てて勉強ができる美術館に躊躇なく訪れる事が出来る日が待ち遠しい。
写真は『Once in a Blue Moon - 97 page』。
このシリーズ唯一の生き物。ロンドンと言えば民家に現れるリス。撮影初日に、きちんと撮れたと確信できた偶然の風景に出会えて、ここから物語は始まって行きました。
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長年の腰痛と肩凝りの悩みに対処すべく、傾斜台を作ってみました。
角度は10度。
背筋が伸びて良いです。
健康で長生きして写真を続けたい。
40過ぎると、地元の友達と健康の事しか話してない。
自分は特別に手先が器用だとは思わないけど、ちょっと便利なものが欲しいかもと思った時に、簡単に図面を作ってささっと木工作業ができるくらい手が動くタイプで良かったと思っている。
最初は奥行き45cm、ゆとりのある傾斜台にしようかと思ったけど、自分の肘から手先までの長さを見て奥行き35cmにして正解だった。
キーボードが一段上がっているのは、単純に同じ高さで手前に物(メモ帳やタブレット)があると邪魔だから。段差をつけると煩わしさが減って、手前においてもストレスがないです。
今日の写真は、『Once in a Blue Moon - 80page』。
今年こそは穏やかに桜を愛でながら、写真を撮りに行きたい。
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整理をしようかと思って箱の一つを開けたら写真集の見本が出てきて、コピー用紙に日付と時間が入っていて、当時の想い出がばーって蘇ってきた。
何年か経って見直すと実にエモくて良い。これからコピー用紙とかも全部日付けと時間入りでプリントしようと思った。
写真集の構成は、毎回自分で必ず見本を作ります。
もちろん、組み合わせのペアの写真を選んだり、床に並べて全体を見たりもしますが、それは写真集作りの始まりの出来事に過ぎない。
本で全体を見渡せるのは、見開きの2ページです。
前のページの過去と、現在開いている見開き、そして次は何が来るんだろうと未来への想像で、物語は進んで行きます。
写真家が責任を持って、自分でする仕事だと思っています。
In designで写真を組んで、コピー用紙にプリントして閉じて実際にめくって、違和感がある所の写真を差し替えて、またプリントしてを、繰り返して行きます。
一人で黙々と作業出来る楽しい時間です。こういう時はB型で良かったと思っています。
でも、たまに誰かが話を聞いてくれると嬉しい。フムフムと話を聞いてくれる聞き上手の、装幀家の坂川栄治さんは亡くなっちゃったけど。
『Once in a Blue Moon』は私が作った見本(B4)よりも、少しだけ縦横比を変えた方が引き締まるという坂川さんのアドバイスはさすがで、坂川さんにお願いして良かったと本当に思いました。私では微妙な縦横比まで気が回らなかったから、勉強になった出来事の一つです。
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自分の作品と向き合う時間を繰り返して、積み重ねて、
一冊の写真集は出来上がっていきます。
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今まで出版した3冊の写真集、
『Once n a Blue Moon』
『TRINITY』
『4月25日橋』
のネット通販をしています。サイン付き。
Once in a Blue Moonはカバーを外すと、背表紙に箔が入っているのが装幀のこだわりなんですよー。
(あまり気付かれないけど…
販売しているプリント作品は額装込みです。
スマホで簡単に撮影したものですが、同じ写真でも額縁によって表情が変わってくるので不思議です。
『Once in a Blue Moon』シリーズは5種類の額が選べます。
ご購入希望の方は、お気軽にお問い合わせください。