# Ponte 25 de Abril
PORTFORIO > Ponte 25 de Abril、TRINITYに、書評と写真集の寄稿文を載せましたので、どうぞ。
自分の母親にも「あんたはあまり悩みがないわねー」言われるぐらい、まあ、悩んでもあまり意味がない、それぐらいだったら手を動かす、それでも上手くいかない時は、本を読んだり別の方法を考えたり、或いは時間が解決してくれる事もある。すぐに白黒つけない。自分は、いい感じでネガティブ・ケイパビリティが身についているんじゃないかと思ってる。
でも、たまにはしょんぼりと落ち込む時もある。そういう時に、この二つの、書評と寄稿文が自分の心の支えになっているので、ひとりでじっくり読んで、頑張ろうと元気になっている。自分の作品を客観的に言葉に表してくれている文章と向き合って、自分の作品の良いところを改めて感じたり。
坂川さんの書評は、当時、面識がないのに、こんなにも言葉にできる方がいるのかとすごく感激したことを覚えている。私の写真は、ステイトメントやコンセプト重視の作品ではないけど、言葉がなくても作品を見れて、その作品を的確な言葉であらわすことができる。今風に言うと、坂川さんは、言語思考と視覚思考の超ハイブリッドタイプだったのではと思っている。イメージの共有ができて、作家と共通の言葉も持っていて、いろんな人に伝える言葉、翻訳する技術もある。『違国日記』のように同じ日本語を話していても、違う国の言葉のように聞こえて、言葉が合わない事ってたくさんあるから。だから、坂川さんが亡くなってちょっと寂しい。
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そういえば、30歳ぐらいの時、私の写真を見て「なぜ、人がいないのか」という質問をたくさん受けた。私からすると「なぜ、人が写っていないといけないのか」と問いたかった。
前にも書いたかもしれないけど、写真を始めた20歳ぐらいのころ。当時、アシスタントで勤めていた広告カメラマン事務所の先輩に目黒川の橋の写真を見て貰った時に、「こういうのは、誰かが通った時に撮るものなんだよ」とアドバイスをされて、随分と不思議なことを言うんだなと思ったことを今でもしっかり覚えている。
人がいないから、良いと思ったのに。
その時思ったことは、私の中からずっと消えなくて。ポルトガルへ行く前、自分の今まで撮ってきた写真を見返した時に、やっぱり私は「人が写ってないけど、人の気配が残っている写真」が好きなんだなと改めて思った。
思い切って、人を撮らずに旅をしてみよう。人の気配が、それが街のかたちを作る。
気配には濃度があって、雨が降ると静かになったり、光に包まれると人の温度や気配は溢れてくる。
場所や、例え技法が変わったとしても、街をかたちづくるものは変わらない。そう考えて、作品を作っている。
新進作家展の時に、一緒にトークショーをした石川直樹さんに「内藤さんは、すごい一貫してる」と言われたことを覚えている。自分は基本的にシンプルな人間だし(マルチタスクではないとも言う…)、何よりも、誰かの作品を下地に作っているのではなく、自分の中から出てきたものを作品にしているので、ブレる必要がない。
意外に思われるかもしれないけど、モノクロで人が写ったスナップ写真は昔から大好きだ。最初はブレッソンを好きになった。そして、森山大道を好きになったのは36歳ごろ。アラーキーは38歳ぐらい。ロバートフランクに魅了されたのは43歳くらいで、まあ、写真好きとしてはかなり遅咲き感があるけれど。名作と呼ばれるスナップ作品たちはどれも素晴らしくて、自分からその作家の魅力に気づけてよかったと思っているし、その時の感じた事も大切にしたいと思っている。
でも。
誰かの作品で好きなものと、自分の中から出てきたものは違う。
誰かに憧れたとしても、私はその誰かにはなれないのだし、だからこそ、自分の中から生まれたものを大事にしたいと思う。
言葉の付加価値や文脈の中で制作する現代のアートからはかけ離れている自覚はあるけれど、まあ、ひとりぐらいは私みたいな写真家もいても良いじゃないって思っている。
最近は人が写ってないことも、わたしがPhotographを光の画として捉えていることも自然に見て貰えるようになってきたし。
夫からも、「ひとりご領主」タイプと言われた事もあるけど、自分の作品の世界は、自分でひとつずつ積み上げていく。
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突然、ペンシルベニア大学図書館から写真集の所蔵依頼が舞い込んできて、私の写真集『TRINITY』と『Once in a Blue Moon』を納品いたしました。
『4月25日橋』は冬青社から同時期に取り寄せ中とのこと。
セルフパブリッシング で刊行した、『TRINITY』と『Once in a Blue Moon』までお声をかけていただけるなんて嬉しい限りです。サインを入れさせてもらって送りました。
海を越えて、アメリカの大学図書館に自分の写真集が所蔵されるなんて!
作品作りを続けていると、たまにこうして良いお話を突然いただく事があって本当に嬉しいです。励みになります。
そのうち、発注済みから閲覧可能になるでしょう。
1月は、日本はいろんな出来事が起こってしょんぼりしていましたが、この件で元気になってきました。
あと、しいたけ占いはなんだかんだ言ってよく当たる気がします。
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お正月は初詣に行かなかったので、今更ながらコロナの感染者が少ない今のうちにと夫と予定を合わせてお参りに行ってきた。
平日の増上寺は実にのんびりしていて、人も少なくて風が気持ち良かった。
古いお札やお守りを返して、新しいものを買ってきて、リビングの一番高い場所におく。
山の中で育つと、神様や仏様に纏わる行事がそれこそ山のようにあって、お寺さんや宮司さんも身近だった。小学生の頃は、年頃の女子たちが持ち回りで半年くらい宮司さんのお宅に通って、地域の祭りのために巫女さんの作法や舞を習ったりした。ちゃんとお小遣いがもらえるから、私も一つ年下の子と厳しい習わしを取得するために結構泣きながら頑張った。
拍子も巫女の舞も、今でも覚えている。こういうのって忘れないものだなあと思う。
今は子供が減ってだいぶ簡素化されているみたいだけど。
おみくじに入っていた福の神は、達磨。
七転八起。
しっかり試行錯誤しながら作品作りに精進しなさい。神様にそう言われている感じ。
忍耐、人望、福徳。
今日の写真は『4月25日橋-01』
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広島の田舎から右も左もわからない東京に出てきて、写真家として作家活動を続ける上で必要な本当の事も厳しい事も沢山言われてきたけど、あの様な下品な事をお酒も飲まずに堂々と言う人とは出会わなかったので、それだけでも私は良い方と縁があったのだと思う。
本当の事や厳しい事と言っても、それを聞いて嫌な気持ちになると言った事はなく、思わず背筋が伸びるような、これぐらいの覚悟が必要なんだと、振り返ってみても改めて納得できる助言が多かった。
素直にありがたいと思ったのは、きっとその方と倫理観や道徳観が近かったのだと思う。
実績(経歴)を積み重ねていくのが先でも、話題になるのが先でも、盛り上がったらなんでも良いと考える人は、思いの外多い。改めてそう思った。
誰に何を相談するかはしっかり考えないといけない。今は大抵の人はSNSをやっているからある程度のパーソナリティは分かるけど、有名だからとか、誰々さんの紹介だからとか、そう言うふわっとした感じの事を基準にしてはいけないと思った。肝に銘じよう。
コロナ以降、きちんとした専門家に話を聞きたいという自然な流れがあると思う。
テレビを見ていると、時として立場を変えてみたり、専門家のふりをしたり、なんだかよくわからない不思議な人は多い。副業とか兼業を謳う人よりも、きちんした専門家だと他人から見ても理解できる人の方が少なくとも自分は安心できる気がする。
『マーケティング』や『コンサル』という言葉は知ってるけど、いまいち何をしている人なのかよくわからない。だから騙くらかしてみたいな表現になるのだろうか。本当によくわからない、、、。
そう言えば、牛丼を食べたのはいつだっけ?と記憶を辿ってみたら、数年前、お昼を食べ損ねて絶対家まで持たないからと目についた牛丼屋さんに入ったのが最後だった。あれは『すき家』だったかな。ちなみに若い頃は『松屋』派。
白ごはん.comのレシピで牛丼を作りたくなってきた。
今日の写真は、『4月25日橋−08』。
デジタルになってもまだハッセルは残している。
自分の写真を見返してみると、また正方形で撮影したいな。
真四角のデジカメが発売されるといいなあといつも妄想している。
オンラインストアのストーリーを更新しました。
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福山の専門学校に通いながら駅ビルでバイトをしていた時、大人たちがホットミルクを注文するのがとても不思議だった。
世の中のおじさんおばさん達は牛乳を温めただけの飲み物にお金を出すのかと。
でも大人のおばさんになった今は、気持ちがよくわかる。
疲れた時、心が落ち着がない時はホットミルクをよく作って飲む。一週間に牛乳を3、4本くらい、小学生かってくらいコーヒーに入れたりホットミルクを作って飲む。
落ち着くよね。夜に飲むとなおさら。
内藤家は、怒ったり悲しくなったらなんでも良いから食べるんだよ。お腹が膨れてたら安心するからとずっと言われてきた。最近は義実家の近くにある、おかしのまちおかに行くのが楽しい。
写真は、『4月25日橋-21』
私のポジティブなところは、決して自分の作品に飽きることがない。変わらず新鮮な気持ちで今までの作品と向き合えているところだと思っている。
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台湾の友達が、地震は大丈夫だったかと連絡をくれて、コロナと世界情勢が落ち着いたらまた会おうと約束した。台湾に行ってパイナップルケーキを思う存分食べたい。
いつになるかわからないけど、こういう不安定な世の中になると未来の約束があるだけでささやかな楽しみが生まれて、心を落ち着かせてくれる。
東京も随分長い間揺れたので、またエレベーターが止まってしまうのかとドキドキして地震が起きた夜はあまり寝れなかった。
以前の地震の時にモニタがぐらんぐらん揺れていて、これではいつか倒れてしまうかもと心配して、耐震ジェルシートをモニタ台との間に設置したらかなり効果があった。震度4くらいだとまだ余裕がありそう。
あと8年くらい前に作った自作の棚が思いの外頑丈でビクともしなくて、地震が来る度にちょっとだけ誇らしい。
今日の写真は、『4月25日橋−18』。
新婚旅行で行ったポルトガル。夫は新婚よりも撮影したい私に付き合ってくれた。
当時はロンドン経由ですごく疲れた。パリ経由の方が時間のロスが無くて良い。週一の直行便が出来たけど今後はどうなるんだろう。
世界は近くなったり遠くなったりしながら、歴史が出来ていく。
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今まで出版した3冊の写真集、
『Once n a Blue Moon』
『TRINITY』
『4月25日橋』
のネット通販をしています。サイン付き。
Once in a Blue Moonはカバーを外すと、背表紙に箔が入っているのが装幀のこだわりなんですよー。
(あまり気付かれないけど…
4月25日橋オリジナルプリントのリストに、新しい写真を追加しました。
写真集には掲載していないカットですが、とても好きな写真です。
本という一冊のストーリーからははみ出てしまったカットですが、プリントという一点ずつの中では映える写真だと思い、リストに加えました。
リストのNo,16も写真集には入らなかったけれど、何回も展覧会には登場した大事な写真です。
リストのNo,23のこの写真は、シントラのペナ宮殿に向かう坂道の途中で撮影しました。ふつう、観光客はみなバスで向かいます。歩くにはちょっとしんどい、、、。でも撮影すると思えば、あんまり苦にならない。好きな光に出会えた時の喜びのほうが勝るかな。
帰りは日が暮れていたので、もちろんバスに乗りました。