# 読書
私はこんなに本が好きなのに、言葉が自分のものにならない。
少し、自分で自分に桎梏しているようなところがあるのは自覚している。
国語4、算数5。
うちの実家のように、本屋も塾もない山間の集落で放牧されながら育つと、持って生まれたものがそのまま培養されたような感じがして、小学生の時の得意なものについ囚われてしまう。国語よりも算数のほうが、好きと得意の相乗効果があることは確かなんだけど。
それでも、言葉が自分のものにならない感覚がずっとある。
お世話になっている学芸員さんからは、「さゆりさんは話せるほうよ」とフォローが入る時がたまにある。だけど、自分がもし学芸員の立場だったら、作家の言葉がわからないなんて口が裂けても言えない。なぜなら、自分には見る目が無いと言っているに等しいから。だから、こういう時は「だいぶいい感じになってきたから、引き続き頑張って」というアドバイスだと思い変換することにしている。
おしゃべりは変わらず苦手だけど、文章は「大きく描いてから、細部を詰めていく」方式、作品制作と同じように考える。このイメージができるようになってから、苦手意識は少し解消され、伝えたいことが書けるようになった気がする。
理想は、「三浦しをん」と「中沢新一」。自分の写真に、自分で書いた『月下のサーカス』のような文章を添えることが出来たら、どんなに幸せなことか。でも、そんな能力があったら、私は小説家を志していた。晩年のカントさんも、美しい絵を作れる人はそれに注力して、言葉は思想家に任せるべき。みたいな事を言っているし。
最近は、タイトルだけは、制作のなるべく早いうちに決めることを心掛けている。そうすれば、悩んだ時にタイトルに戻る事ができる。振り返る先を見つけおくこと。
自分の中では、ステートメントの意味付けもできているから。無いものねだりはやめて、得意なことを頑張っていく。
好きなことと得意なことの相乗効果。
言葉ではなく、写真。
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ホームページをリニューアルしました。
これより以前の旧ホームページのNEWS & BLOG記事はPASTをクリックしてもらえると見ることが可能です。(まだ全部は移行できていませんが。)
今まで利用していたところが倍の料金になり、むむっ、と悩んでいたところ、Googleサイトがあるじゃないかと思い立ち新しいお家へ引っ越すことにしました。Google Workspaceは課金していたけどあまり使用していなかったので、ちょうどいいじゃないかと思っております。
Googleサイトは、凝ったデザインはできない。→だったら、できるだけシンプルに。を心がけていく予定です。とはいえ、動画も載っけられるし、写真やいろんな事を記録していくことが目的だとすると、結構いい感じなんじゃないかと気に入っています。
昔取った杵柄といいますか、私はコンピュータ系の専門学校に進学したので、基本的なウェブサイトを構築するための言語知識はあり、今までのホームページもサイトの機能を利用しつつ、自分で言語カスタマイズをして構築してきたのですが、今回のノーコード仕様は初めて。というか、ノーコードでもそれなりに様になるので楽チンです。Googleサイトでもコード挿入はできるので、慣れてきたらおいおいカスタマイズしていこうと思います。
今までのNEWS & BLOGをコピペして移行しながら改めて読んでると、くだらないことも書いているが、、、本の紹介など私にとって大切な「旅の始まりの一冊」の記事とか、たまに読み返すと原点を確認できてよいです。小学生の時の『地球はまんまる』と、高校生で読んだ『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』。誰に薦められるでもなく自分で手に取った大切な本たちが、私を作ってくれている。「旅」や「冒険」ものが好きなんて、高校生から一人ぐらしをしていた割には健全な学生でした。
2020.04.24-fri『好きな本 02:ちきゅうはまんまる』
2020.04.23-thu『好きな本 01:ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』
という事で、リニューアルした事をきっかけとして、過去と現在を行ったり来たりしながら、このサイトを更新していこうと思っています。
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10月後半から11月にかけて、広島の実家に帰省してきた。
理由は後でまた書くとして、進学で街の高校へ行って一人暮らしを始めてから同じ県内だけど3日以上実家で過ごすことがなかったので、1週間余りも滞在するなんて実に30年振り。
無駄に大きな田舎の家なので、ちょっと寒くて上着を取りに行くのも広過ぎてやたらと歩かないといけないので面倒。やっぱり、狭くても東京の我が家が落ち着くわー。
なんて言ってたら、母が「子供の頃の成績表やら絵画とか全部取ってあるで」と来たので、自分の子供の頃とめちゃくちゃ久しぶりに向き合ってきた。
記憶通りの事もあれば、すっかり忘れていた事もあって。
国語よりも算数が好き。(これは合っていた。小学校6年の時点で、国語4、算数5)
あとは、記憶よりも絵を描くのは楽しかったみたいで、毎年、広島県の絵画コンクールに入賞していた。
小3の時の、稲刈りの絵。
背景と同系色の人物を際立たせるために、点描画を施すという、なかなか秀逸な作品。
このアイデアは先生によるものなのか、自分で思いついたのかは記憶にはないけれど。構図も良く、余計な知恵がないので、伸び伸びして良い作品だと、母と盛り上がった。(ちなみにこのホクロの女性は母ではない。このおばちゃんは誰なんじゃ?全く覚えていない…)
母はまだ60代なので、終活はちょっと早い気もするが、いよいよ死にそうになったら、成績表と賞状、子供の頃の作文や絵画やらを私に渡してくれるらしい。
私の「旅」の始まりの一冊となった大切な『地球はまんまる』の読書感想文も保管してあったし、保育園の頃の連絡帳も残っていた。
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私の読書好きは、幼少の頃から自然と本に手を出していたというよりも、子供の頃にありがちな、何か新しいものがどうしても欲しいという単純な欲求から来ている。
小学校2年生くらいの時。両親がかしこまって「ちょっとそこに正座しなさい。今日から、お父さんお母さんと呼びなさい」という謎の儀式を取り行った後から、おもちゃの類を一切買ってくれなくなった。シルバニアファミリーが欲しかったのに。散々ゴネた後、もしかしたら本だったら買ってくれるんじゃない?と思ったことから始まったことをよく覚えている。
そのうち、「うちの子はよく本を読むわ〜。誰に似たんじゃろー」とか親戚の前で言ってるし。しめしめ。うまくいったな。と思っていた。
でも大人になってよくよく思い出したら、街の百貨店(天満屋)に行っても、おもちゃ売り場ではなく本屋の前あたりに連れて行かれて、「この本が欲しい」と初めの一冊を自ら選ぶように仕向けられていたし、ああいう風に言っておけば、サユリの事だから益々調子に乗って本を読むに違いないという算段があったに違いない。親は全てお見通しである。
まずは一冊、自分で選んだ本を最後まで読む。内容が高尚だとかそういうのはどうでも良くて、親から見て明らかに偏った本でなければ、本人の好きにさせてくれる。一冊ずつ、読書を積み重ねる毎に夢中になる。やがてシリーズものが欲しくなる。
好きだったのは、倉橋燿子『さようなら、こんにちは』全20巻。
同世代の、全国の小学生の女の子達の中で流行っているものから自分で好きな本を選ばせてくれた事は、何もないトトロみたいな山間の村で生まれ育った私にとって、とても幸せだったと思う。『ピチレモン』も『明星』も買ってくれたし。もちろん、流行っていた文通もした。
街まで買い物に出かけるたびに欲しいと言って買ってもらう。次に買うまで、繰り返し読む。それを20巻分きちんと続けたから、親はそれで良しとしていたようだ。
学校で借りれる文学作品でもなく、親の好みでもなく、自分だけのものにしたい。その欲求をきちんと満たせてくれた。本を、物語を大好きにさせてくれた事を今でもとても感謝している。
本はさまざまな国にも時代にも連れて行ってくれる。昔だけでなく、生きている世界線が違う場所とも通じている。誰かの気持ちに感情移入したり。忙しい。私とどこか、私と誰かを繋いでくれる。安ぎと幸せ。物語から文化や歴史、人間の心の機微を読み取って、いろんなものと行ったり来たりする術を学んだように思う。
『プロファイリング』という言葉が流行った10代後半の頃。マーダーケースブックみたいな本をよく読んでた時に、一度だけ「お前は何になりたいの?」と軽く咎められた事を覚えている。黒歴史である。
それ以外は何も言われない。読めとも読むなとも言われていない。いつも好きにさせてくれる。写真を始めてからも、こういう写真集を見ないと駄目だと周りから言われた事もない。自分で選びなさいと、好きにさせてくれる環境にいつもありがたいと思っている。
(もしかしたらアドバイスはされたかもしれないが、覚えていないだけかも。私の事だから人の話は聞いていない可能性の方が高い…)
あとはパズルも大好きだった!
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本の紹介、7冊目。
『スロウハイツの神様』/上下巻、辻村深月著、講談社
30代前半の頃、海外出張のお供をいつもしてくれていた本です。私の好きな上下巻モノ。夫に「またそれ?」と言われるくらい何回も読みました。
自分のお気に入りの箇所は毎回ちょっと丁寧に読んだり、そして、読後感が素晴らしくてまた読んでしまう。という事を繰り返しています。『傲慢と善良』も面白かった。新作をいつも楽しみにしている作家さんです。
一年程前から原田マハも加わって、なかなか忙しいです。
私の作品を気に入ってくださったり、実際に作品を購入してくださった方々と好きな本が一緒だという事が、こんなにも嬉しい事だったとは!
きっと映画や音楽も同じだと思います。なにか共有できているものがある気がして、コロナで減った幸せ貯金が増えました。
あと、全然関係ないですが、大沢たかおカッコイイ…。
ついつい、仁を全部見てしまいました。
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本の紹介、6冊目。
『シークレットレース』タイラー・ハミルトン&ダニエル・コイル著、児島修訳、小学館
事実は常にひとつ、真実は一人にひとつ。
自転車競技界に起きたドーピング問題で、中心人物となったランス・アームストロングではなく、チームメイトのタイラー・ハミルトン側から見たノンフィクション小説です。
ようやくプロになった。でも、最初の新鮮な時期が過ぎると段々と現実が見えてくる。自分は結果が出ないのに、実績を積んでいる人がいる。なにか、秘密があるに違いない。
結局、彼も自分の現実を受け入れてドーピングを始めます。何年にも渡る葛藤と、終盤の「あなただったらどうしますか」という問いかけが余りにも心が痛い。
告発というより、アームストロングの事は悪く書かれてないので嫌な気持ちにはならないです。でも何年経っても、読んだ時の痛みが残っている一冊です。
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本の紹介5冊目。
『ハチミツとクローバー』第6巻/全10巻、羽海野チカ著、集英社
『3月のライオン』第1巻/最新刊15巻、羽海野チカ著、白泉社
多くの方が読まれているので、皆さんそれぞれ好きな場面があると思います。
私は、ハチクロは第6巻。竹本くんが作品制作で葛藤するはぐちゃんを見て神様に、「やりたい事があって泣くのと、みつからなくて泣くのではどっちが苦しいですか?」と問うシーン。
ライオンは第1巻。将棋をやめると言った自分の息子に対して幸田のお父さんが、「自分で自分をメンテナンス出来る人間しか、どのみち先へは進めなくなるんだよ」と零くんに冷静に告げる場面です。
私にとって羽海野チカの漫画は、時にポエティックで、そして、心を真っ直ぐにしてくれる哲学書のように感じる時もあります。登場人物も含めて好き過ぎて語るところがいっぱいあって困ってしまう幸せになる本たちです。
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本の紹介、4冊目。
Photobook『beach』Tim Hixson, Bangalley Press.
ホルガというカメラで撮影された、オーストラリアの海辺の風景やビーチに集う人々の写真集です。現地に行って初めて存在を知ったシープールの写真が好き。
今から20年程前のアシスタント2年目の夏。それまで貯めたお金にアシでも貰えたボーナスを足して、シドニー近郊の街で1週間程のホームステイを申し込みました。
写真集は、滞在先のママさんが連れて行ってくれた海岸沿いの本屋で購入しました。確かその日は雨が降っていた記憶が。
この写真集で初めてホルガの存在を知りました。最も20年前は日本では有名でなく誰も知らなかった…。手に入れるのに結構苦労しました。その割には何年も使いこなせず、自分の頭の中にあるイメージが出来上がるまで随分時間がかかりました。
でも近道しなかったから良かったのかも。
一年間、このカメラで多摩川の写真を撮り溜め、コニカミノルタ主催のフォトプレミオという若手の写真家支援の公募に入選。初めての個展に繋がりました。
表紙に写真が入っている訳でもないし、この本の写真家の方の名前も存じませんでした。でも、なんだかよくわからないけど気になってなって惹かれて。
全くの偶然の出会いの写真集ですが、私にとっては、作家活動の始まりの大事な一冊です。
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本の紹介、迷いに迷った3冊目。
『日の名残り』カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、ハヤカワ文庫
日本ではドラマにもなった『私を離さないで』の方が有名だと思いますが、私は断然こっちです。
いわゆる執事モノですが、主人公のスティーブンスは、私の中の世界三大執事に入っております。(『日の名残り』のスティーブンス、『3月のライオン』の花岡さん、…、あと一人は決めきれないっ。)愛すべき紳士です。
同じような匂いのする『モスクワの伯爵』も大好きです。
1ページ目から私はこの人の物語が好きだ!良い本に出会えたという印象が裏切られる事なく、最後まで楽しむ事が出来た一冊です。
翻訳された小説で好みの物に当たると、私は著者が好きなのか、訳者が好きなのかわからなくなる時があります。きっと自分の国の言葉に訳してくれる翻訳家の方がいるからこそ、その物語は普遍的なものになって広がって行くのだろうと。翻訳家の力量が素晴らしいといつも感激しております。
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本の紹介、2冊目。
『ちきゅうはまんまる』ゲンナージ・ツイフェロフ原作、宮川やすえ訳、多田ひろし絵、旺文社
小学生のころ、我が家はどれだけ駄々をこねてもおもちゃをなかなか買ってくれないお家でした。
でも、本は買ってくれました。ティーンズハートもコバルト文庫も、明星もピチレモンもなかよしも、本だけでなく雑誌もたくさん買って貰いました。
『ちきゅうはまんまる』と『手ぶくろを買いに』が大好きでした。
それから、うちの小学校は給食の時間に10分くらいの物語が毎日放送で流れていたのですが。さとうきび畑に大雨が降って、カンカン照りのとうもろこし畑に流れて、二つが合わさってポップコーンになるというお話を、美味しそう!と毎回楽しみにしていました。
読書感想文に選ばれ、とっても緊張しながらみんなの前で発表した事を覚えています。なんで、私?と長い間思っていたのですが、この本は選定図書だったのか…
私が持っているのは、くじらバージョンですが、3頭の像バージョンもあるらしく、いつかもう一種類の方も見てみたいです。
きっと私の旅の原点は、この本だと思っています。
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コロナウィルスの自粛期間中、読書文化の普及に貢献するため、好きな本を紹介していきます。というSNSの企画に参加しました。
1冊目。『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』上下巻リチャード・アダムズ著、神宮輝夫訳、評論社
私は高校生の時から実家を離れ、結婚するまで人生の半分近く一人暮らしをしてきました。でも、一度も寂しいと思った事がないのは、本のお陰かも。
久々に読みたくなって、2、3年前に中古で買い直しました。
大人になると好みは変わると言うけれど、高校生の時の感覚と変わらず素晴らしくてとても嬉しくなりました。
人や場所は変化してしまうかもしれませんが、物語は裏切らない。心の拠り所にも糧にもなってくれる。改めてそう思った一冊です。
印刷の文字が小さい!昔は、2段組みとかよくあり、読み応えたっぷりでした。
うさぎ達の住む野原が開発される事になり、新たな地を求めて旅が始まります。なにかあった時にいち早く危険を察知できるか、そして誠実に勇気を持って行動できるか。ちょっと今と重なりますね。
この期間にもう一度、読み直して見ようと思います。
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昨年は面白い本に沢山出会えた一年でした。
ベストワンは『モスクワの伯爵/エイモア・トールズ』かな。(3月のライオンは特別枠)オタクのニ次元は裏切らないじゃないけど、良い物語も同じだ。いろんな欲望も満たして心の拠り所や糧にもなってくれる。そんな本たちに今年も出会えますように。